大地震当日の対応について、下記の4点について自社がどのように対応したか、少しだけ時間が経過した今こそ検証してまとめる作業をしておきましょう。
@社員全員の安否と居場所を確認できたか
A会社の設備やデータに損傷がないかを確認できたか
B翌日以降の業務が通常通り出来るか「人・モノ・金」に ついて確認できたか
C地震後に各社員が次の行動に迷わず移れていたか
(又は行動できるように指示をしたか)
地震発生が金曜日の午後2時46分と終業までにはそれほど多くの時間がなかったにも関わらず、この全項目で、迅速な対応ができた会社は及第点。多くの企業では、「社員の無事を確認して、とりあえず大きな支障もなく翌週から業務ができた」というパターンではないでしょうか。
◆災害対応は「生命と資産の保全そして事業の継続」
これまで災害における危機管理の考え方は、従業員の生命と会社の資産を守ることが主なものでしたが、阪神大震災以降は、そこに「事業の継続を図ること」を加えて考えるようになりました。企業の事業内容や規模によって具体的な対応策は当然異なりますが、基本は上記の4点に集約することができます。
【@社員全員の安否と居場所を確認したか】
企業の最大の経営資源である従業員を守る視点です。事務所や店舗が一箇所だけで全員が室内にいれば瞬時に全員の無事を確認できますが、営業や配送で外出している社員や、複数の事業所がある場合などでは、あらためて社員の安否確認をする必要があります。その確認と集約を誰がするのか明確になっていたでしょうか。さらにケガを負った社員がいたり、安否確認のできない社員がいれば当然対応が必要です。
また、今回は地震直後に全ての電車が不通となったため多くが帰宅困難者となりました。翌日が休日だったため、一晩中歩いて帰宅した人も多かったようですが、帰宅手段まで対応できたかも検証しておきましょう。
【A会社の設備やデータに損傷がないか確認したか】
会社の資産を守るという視点です。同時に、事業が通常通り継続できるかの前提ともなります。生産設備や日常業務に欠かせないPCや車、そして業務データは、操業していく上で欠かせない重要な資産です。主たる生産設備の稼働確認は担当部署が、個々のデスクにあるPCとそのデータ等の動作は各自で確認したことと思いますが、共有機器となるコピー機やFAX、データサーバーや電話回線、ネット環境の状況など確認があいまいとなりがちなものも多数存在します。被災後の点検リストは故障時の修理連絡先や代替方法も含めたものとして作成する必要があります。
【B翌日以降の業務が通常通り出来るか「人・モノ・金」について確認をしたか】
一番確認の難しい項目です。災害の種類や規模によって今後起こりうる事態を予測して確認していく必要があります。過去の経験が生かされる分野でもありますので、社歴が長い社員の力の見せ所です。例えば、資材の調達に不都合が生じる可能性や社員が出勤できなくなる可能性がある場合の対応、震災が理由の受発注キャンセル、修理やクレーム対応など通常では予測できないことがいくつも起こります。さらに、取引先の支払いストップによる資金繰り対策なども考えられます。起こった場合を想定して、そのための手立てを先手先手で打っていくことが求められる対応となります。この部分の対応の成否は、もしものときに他社との「差」となって表れる部分でもあります。
【C地震後に各社員が次の行動に迷わず移れていたか(又は行動できるように指示をしたか)】
会社の危機状況を全社員で共有できていたのかどうかです。少人数の会社の場合は現状や危機意識を共有することは比較的容易です。しかし、10名を超える規模になると、通常、年齢や経験の異なる社員が混在します。災害など特別な事態では、明確な指示がなければ全体をスムーズに動かすことは容易ではありません。この場合はトップダウンの指示が有効です。
一般的には危機を乗り越えることで組織は強くなるものですが、今回ある会社では、「社長が真っ先に車で帰宅してしまった」「上司に帰宅手段がないから早く帰りたいと相談したら『そのうち電車が動くだろ』と言われ結局公共施設で一夜を明かした」など、不信感を募らせてしまった会社もあったようです。
◆全社員で災害対応の検証作業を
経営には、災害や景気変動の他にも大小さまざまな危機が日常的に襲いかかりますが、震災はそういった危機が集約された形で一度に襲いかかってきたようなものです。地震発生から一ヶ月足らずですが、発生から今日までを振り返り、全社員へ「地震直後から帰宅までどのような行動をとったか」「不安に感じた点」また、「現時点で震災が業務に与えたと思う影響」など、アンケート調査も含めて、経過としてまとめておくことをお勧めします。教訓化の作業は、時期を逃すとできなくなります。直後には気になっていた問題点も、時間が経つといつの間にか忙殺されてしまいます。記憶の新鮮な今のうちに検証作業を進めましょう。
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