03年8月第4号
<特別寄稿>
社会保険労務士・人事労務コンサルタント
米山正樹(オフィス経営管理)
「コンピテンシー」という言葉をよく耳にするようになりました。一言でいえば「できる社員の行動特性」ということですが、当初、大企業を中心に話題になったこともあって、「うちには関係ない」と思っている中小企業経営者の皆さんも少なくないようです。
しかし、仕事柄、くり返し「コンピテンシー」に関わってみると、「これって中小企業にこそピッタリじゃないか」という思いがどんどん強くなってきます。
中小企業は人材不足と言われがちですが、もちろん、仕事のできる社員がいない訳ではありません。社員個人がもっている仕事のノウハウが、個人にとどまり、会社の共有財産になっていないことが大きな要因の一つと言えます。
そこで、自社の「仕事のできる人」にスポットをあて、「営業のA課長の交渉はここがスゴイ」とか「製造のB主任が不良品を出さない工夫はこれだったのか」など、個人のノウハウを社内に公開することで、他の社員に「仕事のやり方のモデル」を示すことができます。このモデルは、他からか持ってきたものでなく、自社で実際に行われているものですから、とても説得力があります。
これが「コンピテンシー」です。このように考えると、様々な人事制度を「堅苦しい」「運用できない」と敬遠している中小企業でも、社内に埋もれているノウハウを共有財産にする仕組みづくりなら、十分取り組めますし、取り組む価値は大いにあるでしょう。
03年10月第6号
株式会社テンポスバスターズ
取締役 川原史敬
※ある経営者セミナーで川原氏がおこなった講演を資料としてご紹介します(抜粋)。
テンポス精神17ヶ条とは、私たちの会社で何か問題が発生したときに、どう判断して、どう行動するかという社員の約束事です。お客様に満足していただくための私たちの行動様式を書いているのです。
第1条「ニコニコ・テキパキ・キッチリ・向上心」
「テキパキ」というのは何か。"私たちの職場で一番手が速い人"。この人と同じ速さかこの人より速いときにテキパキっていうんです。2番手になった人は自分より上の人を追い越すように努力し、やがて繰り返していれば世界で一番速くなるだろうということです。「向上心」も顧客満足のために必要です。昨日と同じようなサービス、これはお客様から必ず飽きられてしまいます。日進月歩、世の中進歩していますから、向上心を持って仕事をしようと言っているのです。付け加えますと、向上心という「心」だけじゃダメです。行動に反映されないと意味ありません。ですから、正確には向上心ある行動が必要です。
第5条「フリーエイジェント・ドラフト制」
この制度は、社員も店長も、気に入らない店長なり社員なりがいたら自分で立候補してどこへ行ってもいいというものです。これは実は深い狙いがあるんです。いやなら何度でも変わってみろ、だがそのうち気がつくよ、理想的な上司なんかいませんよと。理想的な職場なんかないですよ。"働きやすい職場だとか、理想の上司だとか部下だとかいうのは誰がつくるんだ?"、この問いかけなんです。私たちの会社が必要としているのは"自立型社員"です。自分で考えて自分でやる人。そしてうまくいかないときに、自分に何ができるのかと考える人です。
第10条「いてての法則」
屈伸運動でぎりぎりのところまでやっていると結構痛いじゃないですか。その痛いところでやめているといつまでたっても床に手がつかないんです。痛いのを通りこしてやるもんだからできるようになるんです。これを「いてての法則」といいます。仕事も同じです。「これ以上ムリ」というところでやめている限りは、いつまでもそれ以上には発展しません。この「いてて」の位置を自覚して、それ以上頑張れるかどうかが大事だと言っているわけです。
第12条「基本に忠実」
「基礎を身につけている間は、本を読め、先輩に教われ、決して自分で工夫するな。個性も出すな。技術習得は『600分の1の法則』を思い出せ」。
これは、新人の社員や中途採用の社員と向かい合ったときに、ぜひ気をつけたいことが書いてあります。
「600分の1の法則」とは何かといいますと、エジプトでミイラづくりが行われて以来、近代医学の完成まで約6,000年かかっています。明治時代に森鴎外がヨーロッパに渡り、10年間一生懸命勉強した。そして日本に持ち帰って今日の外科技術の基礎になっているんです。その6,000年かかったであろう外科の技術を10年で覚えてきてしまった。基本に忠実に。大切なのは何百年何千年かかった素晴らしい技術であろうが、基本をきっちり忠実にやればすごい短い時間で学ぶことができるということです。そのときはよけいなもの入れちゃだめで、たとえば、当時日本の医療といえば、祈祷などが当たり前に行われていたけれども、そんなものを織り交ぜたりしたらメチャクチャですよね。工夫はそのしっかりとした基礎の上にということです。
第14条「自転車0.99の法則」
自転車に乗れる基準を「1.00」とし、もう少しで乗れるところを「0.99」とする。わずか0.01の差ですが、この差は自転車に乗れるかどうかです。ビジネスの上では、見分けにくいですが実は同じことです。「0.99」を100回続けて掛けると「0.36」ですが、「1.01」を100回続けて掛けると「2.73」となり、ものすごい差になってしまいます。1回1回は、わずかな差でもそれが蓄積されると全然違う差になってしまうのです。このことをいつも戒めてやりましょうと言っています。
| 株式会社テンポスバスターズ |
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| 総合厨房機器・用品のディスカウント・ストアとして97年に創業。現在全国25店舗を展開し、02年にジャスダックに上場を果たした。マスコミにも取り上げられる注目の企業。川原史敬氏は、同社のナンバー2。 |
05年12月第32号
Q 現在外国人労働者を5名雇用しているのですが、不法就労の者を雇用すると経営者も罰せられると聞きました。外国人の雇用にあたっての注意点を教えてください。
A 外国人に不法就労をさせた場合、不法就労者本人が罰せられるのはもちろんですが、雇用主や斡旋者なども悪質な場合には「不法就労助長罪」として罰せられます。罰則は、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金となっています。
「不法就労」には以下の2つのケースがあります。
@ 在留資格がない(不法在留者)場合
A 在留資格はあるが就労資格のない場合
したがって、日本に在留している外国人で就労することができるのは、就労資格を持っている場合だけであり、該当するのは以下の場合等に限られます。
@法律や医療、教育などの専門性の高い業務につくこと を条件に在留資格を認められているもの
A永住者、日本人の配偶者等
B「留学」、「就学」、「研修」等の資格で在留し、資 格外活動許可書の交付を受けた者
C就労資格証明書の交付を受けた者
Dワーキングホリデー制度に基づき在留している者
したがって、外国人の雇用に当たっては、以上5つのケースを証明する書類を事前に確認しておくことが必要です。なお、短期滞在(観光等)で入国している場合には、単純労働であってもいっさいの労働が認められていませんので注意してください。
また、パスポートやビザ(査証)は在留資格ではありませんので、これを持っていても就労資格のない場合には就労できませんので注意してください。
09年1月第69号
Q 昨年末に、従業員の居住地の各自治体から給与支払報告書を提出するようにと郵送物が届きました。これはどうしたらよいのでしょうか?また、住民税の特別徴収とは何でしょうか?
A 住民税は、1月から12月までの1年間の所得に対して課税され、翌年の1月1日に居住している市町村に納付しなければなりません。その際、個人が直接納付する方法を普通徴収と呼び、会社が従業員の給与から控除をして代わりに納付する方法を特別徴収と呼んでいます。
ところで、市町村が住民税の額を決めるためには所得が申告されなければなりませんが、給与所得者の場合には、給与の支払者である事業主に従業員の所得を報告する義務が課されていて、これが毎年1月31日までに各市町村に提出する給与支払報告書となります。
一人ひとりの給与支払額を証明した給与支払報告書を作成して、各市町村ごとに作成する総括表を添付して各市町村に提出(郵送)することが必要です。
その際、特別徴収にする人と普通徴収にする人を分けて、普通徴収の人の分には給与支払報告書の余白等に普通徴収と明記しておくことが必要です。市町村では特別徴収を前提としていますので、この記入がされていないと自動的に特別徴収の扱いにされますので注意してください。
なお、特別徴収の場合は、年間の税額が12等分され、第1回目の納付が6月分(納付期限は7月10日)となっており、翌年の5月分までの計12回を毎月10日に納付しなければなりません。納付書は、毎年5月前後に1年分の納付書が会社に送付されてきます。
09年2月第70号
Q 今年の5月21日より裁判員制度というものがスタートすると聞きました。従業員が裁判員に選ばれた場合、会社を休ませなければならないのでしょうか?また、この場合の給与は払わなければならないのでしょうか?
A 裁判員制度は、国民の中から選ばれる裁判員が刑事裁判に参加する制度で、6人の裁判員と3人の裁判官が、被告人が有罪か無罪か、また有罪の場合どのような刑にするかを判断する制度です。通常、多くの事件は3日以内に裁判が終了し、裁判員または補充裁判員に選ばれる確率は1年間に約5000人に1人と説明されています。
ところで裁判員に選ばれた場合、法令に定める辞退理由に該当しない限り裁判員を辞退することはできませんが、仕事との関連では「事業に著しい損害」を与える場合には辞退ができると規定されています。裁判員に選ばれた従業員の業務について総合的に判断し、該当者とよく話し合って対応を決めてください。
また、従業員が裁判員として裁判に参加する場合は、労基法第7条の公民権の行使として会社はその参加を保障しなければなりません。ただし、有給とするか無給とするかは会社の裁量に任されています。なお、裁判員として裁判所に行った人には日当(1万円以内)と交通費が支払われることになっています。
この他、会社に関係のある事項としては、裁判所に向かう途中に事故にあった場合の対応がありますが、この場合は労災保険の適用はされず、国家公務員災害補償法の規定が適用されることになっています。
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