直線上に配置

こんな商売もあるもんだ

home


サービサーのからくり
  〜借金一千万円が100万円に〜

■キツネにつままれたA氏
 2年前倒産したX社の役員だったA氏に、T金融機関から内容証明郵便で「債権譲渡通知」が送られてきました。“あなたが連帯保証している債権をZ債権回収会社に売却した”というものです。A氏は当時、B社長とともに、T金融機関から2千万円借入の際の連帯保証人になっていました。
 その後、Z債権回収会社から、残債の1千万円を返済するよう毎月電話が来るようになりましたが、電話のたびに返済困難である旨を伝え、話は平行線。ところが、半年もすると、「500万円でいい」、次には「一括で返済するなら200万円でいい」となり、最後は100万円で債権を買い取ることができたのです。
 「いったいどういうカラクリになっているのか。キツネにつままれたような話だ」とA氏は不思議がります。

■サービサー(債権回収会社)とは
 バブル崩壊で不良債権が大量に生み出されたH11年、それまで弁護士のみに認められていた債権回収業務を規制緩和する法律(サービサー法=債権管理回収業に関する特別措置法)がつくられました。これよってつくられたのがサービサーです。資本金が5億円以上、常勤取締役に弁護士が含まれていること、暴力団(員)が排除されていることなどの条件が課せられています。
 サービサーは、金融機関等から債権の管理回収業務を受託したり、または債権を買い取り自らが債権者となって債権回収することで、収益をあげています。


■不良債権処理を迫られる金融機関

 金融庁の指導やBIS(国際決済銀行)の規制によって金融機関は、資産と財務の健全化が義務付けられています。不良債権については速やかな処理を迫られます。そしてその処理には、大きく間接処理(引当て)と直接処理(最終処理)という方法がとられますが、間接処理は、問題をたんに先延ばしするだけで、最終的には直接処理をして不良債権を簿外に出さなければなりません(オフバランス)。
 しかし、そのためには、保証人の状況調査をはじめかなりの時間とコストが必要で、不動産担保のついた債権の場合は、担保処分が済まなければ直接償却することができないのです。税務上もこうした処理がきちんとされなければ、経費として認めてもらえません。

■サービサーへの債権のバルクセール

 そこで、不良債権処理のための時間とコストを軽減するために行われるのが、債権売却です。不良債権を商品として売買することで、金融機関は短時間・低コストで直接処理と同じ効果を手に入れることができるのです。
 なかでも、さまざまな種類の不良債権を抱き合わせて、格安でまとめ売りすることをバルクセールといいます。
 こうすれば、比較的回収可能性の高い債権に回収可能性が低い債権を混ぜ込んで売却できるわけで、買手(サービサー)の側もリスクが分散され、収益を期待します。

■不良債権の売買価額は額面の数%
 金融機関とサービサーとの間での不良債権の売買価額は、一般に額面価額の数%程度と言われています。
 たとえば、バルクセールで額面総額10億円の不良債権が4千万円でサービサーに売却されたとすると、その中には、額面5億円の不良債権もあれば、1千万円の不良債権も存在し、比較的優良な(?)不良債権もあれば、まったく無価値なものも存在することになるわけです。
 サービサーは、額面総額のうち10%=1億円を回収できれば、差引6千万円の利益を手にすることになります。
 金融機関の側からすれば、回収の可能性がほとんどない不良債権をいつまでも持ち続け、その処理に膨大な時間とコストを費やすよりも、たとえ額面の数%であっても売却してしまった方が得であると考えます。
 金融機関もサービサーも「できるだけ早く、できるだけ低コストで」が合言葉で、法的手続きのような手間と時間をかけたくないのが心情です。

 Z債権回収会社は、A氏が連帯保証した債権を実際にいくらで買い取ったかは分かりませんが、少なくとも上記のようなカラクリによって、A氏から100万円を引き出したことで、十分すぎる利益を得たはずです。A氏曰く「自分は得をしたのか、損をしたのか…」。

         (2010年10月)

トップ アイコントップページへもどる
home
直線上に配置