| 【安居楽業】 (あんきょらくぎょう)自分の今ある状況を心穏やかに受け入れ、楽しんで仕事をすること。『漢書』第六十一巻貨殖伝から。 ◆6月に事務所を初台に移した。新宿から1駅、歩いて20分程の場所でも、甲州街道から道を少し入るだけでこんなに静かになるのかと不思議なほどだ。新事務所は建物がきれいなこと、壁一面の窓ガラスから正面に小学校の校庭を見渡すことができ、スタッフ一同大変気に入っている。先日まで校庭で行われていた運動会の練習では、日に日に上手になっていく子どもたちの様子までわかり社内の会話も弾んだ。 ◆中小企業は、地域と密接に関わりながら存在すると言われる。東京の、とくにオフィスばかりの場所にいると、地域との関わりは分かりにくいのが実際だが、新事務所は住宅街の一角。まだ移転してひと月ほどで地域と結びつきは少ないが、よく顔を合わせる人とは挨拶も交わすようになった。 ◆これまで中小企業の地域との関わりは、雇用と納税くらいしか思い浮かばなかったが、何よりも地域とのコミュニケーションだと考えられるようになった。オフィス街の事務所では考え難かった点だ。少なくとも昼間の多くの時間を過ごす点では地域住民の一人に違いはない。初台に移転したことも何かの縁である。地域に関わり、地域を作りながら事業を発展させていきたいものだ。 … (下) |
| 【秋風索漠】 (しゅうふうさくばく)秋風が吹き、もの寂しいさま。盛んであった物ごとの勢いが衰えて、もの寂しい様として ◆9月も下旬となり、いつもだったらこの言葉が少しは実感される頃。めにはさやかにみえねども…、風の音に驚いた昔の人も、今年のような猛暑の後の秋にはどんな歌を詠むのでしょうか。などと思ううちに突然やってきた秋の雨は肌寒さも運んできてしまいました。活躍したクーラーや扇風機はもう用なし。これこそ秋風索漠ですよとひとりごとを言ってるかもしれないですね。 ◆それにつけても思いだすと猛々しい暑さの日々でした。打ち水、すだれ、打ち上げ花火もどこかに追いやられて熱中症で今日は何人搬送、何人死亡が記事となった今年の夏でした。地球の反乱か、日本の政治の貧困のきわまりなのか。 ◆今年が特別であったという保障がないのなら来年に向けて猛暑対策が今必要でしょう。何年か前フランスで死者が続出した夏がありましたが、国でしっかり対策をたてたとのテレビ報道を見ました。さすがフランス革命の国、オスカルの国と暑さで動かなくなった頭でそんな感想がよぎったものです。 ◆願うことなら秋風索漠のようなことばがゆっくりと味わえる美しい四季の日本であってほしいものです。今年大活躍した道具たちにもお疲れ様とやさしく保守管理してあげましょう。 …(来) |
| 【三寒四温】 (さんかんしおん) 三日寒い日が続くと次の四日間くらいが暖かく七日周期で寒暖が繰り返され、気候がだんだん春に近づく現象。 ◆東日本大震災…真冬並みの寒さの中で、住まいはもちろんのこと家族を亡くし、未だ行方不明の身内を探しながらの避難所生活など想像に余りあります。また、自然災害から人災とも言える原発事故が引き起こされ、高い濃度の放射性物質の拡散が新たな危険を強めています。 ◆さらに不安が不安を呼び、それがマスコミやメール、ネットによって増幅されて、新たな災害である風評被害も深刻になってきました。「便利なもの、楽しいもの」が抱える負の側面にあらためて気付かされ、買いだめに逸る心を戒めながら、被災地や必要としている人の手に十分な物資が届くよう願うばかりです。 ◆そんな心配や不安の日々を過ごしているうちに、三月二八日、東京では開花宣言が。寒い寒いと思っていたのに、いつの間にか春が訪れていたようです。大震災という自然の怖さを見せつけられながらも、確実に季節がめぐり来ることのありがたさは、何にも代えがたいもの。 ◆被災された東北や関東地方をはじめ、この危険で不幸な状況が一日も早く終息することを願いつつ、寒暖を繰り返しながらも春が必ず訪れるように、必ず明るい日々が巡ってくると、希望をもって生活していきたいものです。 …(広) |
| 【小人閑居】 (しょうじんかんきょ) つまらぬ人間は暇を持て余して、とかくよからぬことをしがちであるの意味。 ◆私はこの語を座右の銘にして、よからぬことをしないように日々を有意義に過ごすよう心がけています……。ということはなくて、むしろ「小人閑居して不善をなす」というこの心地よい言葉のリズムに心がわくわくして大好きです。 ◆「小人閑居不善プロジェクト」なんてものをすごく暇な人が立ち上げて「不善企画」をいろいろ考えたら、きっと世の中おもしろくなるかもしれないですね。小人は大きな不善はきっとできないから、あんまり他人に大迷惑はかからないと思います。 ◆不善の最たるものは、国を挙げての原発推進政策のあげくに起きたこの原発事故じゃないですか。効率化、便利さを追い求めた結果ではないかと、今一億総懺悔状態になっているのは決して悪いことではないとは思うけれど、「小人にそこまで責任を突き付けられてもね」と小人を自認する私はついそう思ってしまいます。“節電、節電”って、少し前まではオール電化が今風だと言ってた人たちの言葉とは思えません。 ◆ 私は「暇だとろくなことをしないねえ」という言葉がある暮らしが一番良いくらしだと思います。一日も早く、文字通り「小さな人」子どもたちが大人の目をかいくぐり、どろんこの中で、草むらの中で、雨に喜び、幸せに不善をなす日々ががもどってくることを、願ってやみません。 …(来) |
| 【台風一過】 (たいふういっか) 台風が過ぎ去った後、風雨が収まりすがすがしい晴天となること。 ◆台風15号が日本列島を縦断して秋が来た。一瞬ではあったが、台風一過の青空とこの夏の猛暑を忘れさせるすがすがしさに癒された。 ◆自然がもたらした大きな災害は、新しい被災地をつくり、3・11以降必死に立ち直ろうとする東北地方をも襲った。これでもかと続く災害で多くの尊いいのちが奪われた。加えて、東京電力福島第一原発の事故はどう収束するのだろうか。人々を襲う目に見えない放射能の恐怖、土壌汚染、農作物の汚染等々…数えあげればキリがない。 ◆民主党政権に変わって2年が過ぎた。予想はしていたが見事に期待は裏切られた。夏の終わりに3人目の総理・野田内閣が生まれ、地に落ちた支持率が一時的に回復した。政治不信は「誰がやっても同じ」と国民を失望させたが、よりましと思ったかそれでも“どじょう”に期待するこの国の国民は余程のお人よしなのかも知れない。野田総理の国連総会での演説は国会での発言と違う上に、オバマ米大統領からは重い宿題が押し付けられ丸呑みで帰国した。 ◆国民のいのちとくらしを最優先する政治をお願いしたいが、増税の嵐に景気回復は望めず、世論に関係なく進む原発再開の目論見に先の見えない不安は続く。この国中に充満する違和感も「台風一過」となって欲しいものだが。 …(広) |
| 【車水馬龍】 (しゃすいばりょう) 車は流れる水のようにとめどなく、馬は龍のように連なっている様子から、車馬の往来の賑やかなさま。非常に賑わっているさま。 ◆町のざわめきがきこえてくるような言葉です。ここ幾年かは威勢のいい言葉が聞かれることは、まれでした。せめて新しい年の初めは言葉だけでも味わって見ませんか? ◆車は車でももっとアナログなもの、だって馬が行きかう往来ですから。馬が龍のように連なるのですから、馬上の人の運転技術もけっこう試されます。馬は大きいですから、馬の宿屋も必要でしたね。往来の掃除もなかなか人手がいります。車も贅をつくしたものから、庶民の使い勝手のいいものから、そこは職人工人の腕の見せ所です。 ◆この言葉は、たぶん中国の長い歴史のどこかの時代に生まれたのでしょう。時間の流れの中に戦さがあったり、天災に見舞われたりが、何度もくりかえされたことでしょう。人や馬が途絶えた往来も、時代の中にはあったにちがいありません。何があっても時は過ぎ、人はそうして暮らしています。暮らしが続くところに往来の賑わいも生まれます。馬が龍のように駆けて、そこに商売の話がとびかい、けんか腰のやりとりがあって笑顔もあって、それが車水馬龍です。 ◆新しい年、人はどんな時代でも「あけましておめでとう」と言い正月を祝ってきたのです。 …(来) |
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