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年金相談の現場から
5千万件の年金記録未統合問題が問題になってから年金相談が急増しました。この連載では、沖、鎌田の2人の社会保険労務士が実際に受けた年金相談の実例を紹介します。みなさんとみなさんの周りの年金相談の参考にしてください。

  
  時効撤廃法で8百万円の未支給年金を受給
(08年1月)
                            --------- Sさんの場合

【亡夫の未支給年金を遡って受給できたSさん】
 Sさんの夫は平成19年の2月に85歳で亡くなられました。葬儀を済ませ遺物を整理していたら、亡夫がSさんと結婚する前に約8年間勤めていた会社の社員名簿を偶然見つけました。3月に最寄りの社会保険事務所にその社員名簿をもって記録の確認を請求したところ、たしかにその会社に勤めていたことが確認され、5年分(80歳から85歳までの分)約2百万円の未支給年金をもらい、あわせて遺族年金の増額も行われました。
 時効撤廃法案通過のテレビ報道をみたSさんが、「もしかしたら私も」と相談に見えたのは平成19年8月でした。私(鎌田)も一緒に社会保険事務所に同行し、未支給年金の請求を行いました。すでに3月の時点で記録が統合されていますから、手続は簡単でした。同年11月に残りの未支給年金(60歳から80歳までの分。Sさんの夫の年齢の場合60歳から老齢厚生年金が支給されます)約8百万円を受給できたのです。Sさんは、「天国の夫からの贈り物。毎月10万円ずつ使って、のんびり温泉にでもいきながら過ごすわ」と嬉しそうに報告してくれました。

【特例法の救済範囲は?】
 この特例法(平成19年7月施行)は、年金記録の訂正により年金額が増額されたり、年金の受給資格が確認された方の老齢・障害・遺族年金の時効消滅分(※)が全期間遡って支給されるというものです((※)これまでは5年の時効で、それ以上は遡ってもらえませんでした)。もしこれらに該当している方が亡くなられている場合、ご遺族の方に時効消滅分が支給されます。遺族の範囲は、亡くなられた当時、生計を同じくされていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹(順位もこの通りとなります)です。
 ただし、特例法は、あくまでも社保庁のミスにより長年不明になっていた年金記録が見つかった人が対象です。本人が受給請求を忘れ、その分の年金をもらえなかった人は、特例法の対象外(つまり5年の時効となる)ですので注意が必要です。
 社会保険事務所にある支払手続用紙に記入します。年金手帳・年金証書・振込通知書などと印鑑、身分証明書、預金口座通帳などを持参するようにしてください。


   
   もらい忘れ年金が見つかり、月額約2万円の年金増(08年2月)

                            --------- Bさんの場合

【もらい忘れ年金があったBさん】
 Bさん(昭和20年生まれ・女性)は昭和45年にサラリーマンの夫と結婚しました。当時はサラリーマンの妻は国民年金に加入しなくても良いということで、加入していませんでした。
 その後、昭和61年に第三号被保険者制度が始まったときに、Bさんは忘れずに手続きを行い、60歳まで第三号被保険者でした。
 60歳を過ぎたBさんは、マスコミで年金のことが取り上げられることが多くなり、あらためて自分の年金加入暦を振り返ったところ、昭和61年からの19年間しか加入していないことに気が付きました。
 さらに、友人から「年金は25年以上加入していないと支給されない。」と聞いていて、「私は年金がもらえないのでは?」と不安に思い、相談にみえたのです。
 お話をお聞きしていると、高校を卒業してから6年間ほどデパートでお勤めをしていて、その時は厚生年金に加入していたということが分かりました。
 当時は女性が退職する際に、会社が脱退手当金を社会保険事務所に請求し、退職金に上乗せして支給することがよく行われていたので、Bさん自身もそうだったと思っていて、厚生年金が受給できるということは全く考えていなかったのです。
 そこで、まずは社会保険事務所で記録の確認を行い、お勤めしていたときは旧姓だったということで、記録の統合(テレビで言われている「名寄せ作業」のことです。)を行いました。
 すると、脱退手当金が請求されていなかったため、Bさんは第三号被保険者の19年間と、厚生年金に加入していた6年間で計25年の要件を満たし、年金が受給できることが確定しました。
 それだけではなく、特別支給(60歳代前半)の老齢厚生年金が年額約22万円受給でき、65歳以降の年金も約22万円増額されることが分かりました。
 Bさんは「主人の年金と合わせると、老後の暮らしもこれで何とか目処がついたわ。」と、穏やかな表情でおっしゃいました。

【もらい忘れ年金とは?】
 公的年金は請求しなければ受給できません。「もらい忘れ年金」とは、請求し忘れた年金のことです。
 「旧姓と現姓の両方に記録が残っている」「職を転々とし、年金手帳を複数持っているがそのままにしていた」「年金手帳(厚生年金保険被保険者証)を紛失しているため、請求していない」などで未統合の記録があり、それを請求し忘れていることによる「もらい忘れ年金」がかなり多くあると言われています。
 昔、短い期間だけ勤務(厚生年金に加入)していた会社がある人は要注意です。まだ受給までに時間のある方も、思い当たるところがあれば、記録を確認し、統合作業をしておきましょう。



   
     何歳まで年金の繰下げを行えばトクなの?(08年3月)

Q:私は昭和15年7月30日生まれで(現在67歳)、国民年金保険料は387ヵ月納付済です。厚生年金には1年ほど加入していました。亡くなった夫の遺族厚生年金とアパート収入等があるので老齢基礎年金をもらわなくても当面生活できるので、老齢基礎年金の繰下げをしている最中です。まもなく68歳になりますが、一体いつまで繰り下げればトクすることになるのでしょうか?(K子・女性)


A:繰り下げとは、本来なら65歳から受け取れる年金を66歳から70歳までの間の自由な時期に受け取り始めることです。昭和16年4月2日以後生まれの人の場合、1ヵ月につき0.7%増額(1年で0.7%×12ヵ月=8.4%増額、5年で0.7%×60ヵ月=42%増額)します。昭和16年4月1日以前生まれの人の場合は、年単位で12%〜88%増額します。K子さんの生年月日の場合は旧増額率が適用されますので68歳を超えた段階(69歳までの間)で受給すると43%増となります。具体的には、65歳からもらえるはずだった老齢基礎年金の本来額655,000円、その43%増の936,700円です。そうすると、65歳からもらい始めた場合と68歳以降に繰下げた場合の額が同じになるのは74歳です。ちなみに昭和16年4月2日以後生まれの人に適用される増額率で計算すると、80歳頃に同額となります。

―銀行預金に比べたらかなり有利な資産運用ね。

A:そうとも言えますが、難しいのは繰下げの損得勘定は自分の寿命次第だということです。K子さんの場合も74歳を超えて生きれば繰下げた方が受給総額は増えますが、その前に死亡すれば通常よりも受給総額は減ります。まして受給開始前に亡くなれば、自身で受け取れたはずの年金がゼロになってしまいます。年金に頼らないでも余裕のある人生設計ができ、長生きの自信のある人は、繰下げの検討の余地があるといえます。

―老齢厚生年金も繰下げできるのかしら?

A:平成19年4月から65歳からの老齢厚生年金の繰下げ制度が始まりました。60代前半にもらう特別支給の老齢厚生年金をもらっていた人も対象です。増額率は老齢基礎年金と同じです。気をつけなければならないのは、本来加給年金をもらえるはずだった人が、繰下げを選択するとその間加給年金が支給されなくなることです。また、老齢基礎年金と老齢厚生年金のそれぞれ別々に繰下げを選択することができます。両方とも繰下げて、なおかつ、受け取り始める時期に差を設けることも可能です。K子さんの場合は、すでに遺族厚生年金を受給しているので老齢厚生年金の繰下げをすることはできません。



   
    60歳以降に厚生年金に加入するのはおトク?(08年4月)

Q:私は昭和23年4月15日生まれです。高校を卒業して5年間会社勤めをして、結婚し、しばらく専業主婦だったのですが、平成7年4月からある会社に勤め始め、現在に至ります。定年(60歳)が近づいてきたので、社会保険事務所に行って年金加入記録を調べたところ、60歳から年金をもらえるのですが、14年間の未加入期間があることが分かりました。
 定年後は1年契約の嘱託職員(賞与なし)もしくは週3日のパートという雇用形態を選択することになっています。14年間の未加入期間は埋めたいのですが、嘱託社員になって年金が減らされるのも嫌だし、どのような選択をするのが良いのか教えていただきたく、相談に参りました。ちなみに夫も同じ年に生まれ、ずっと会社勤めをしております。


A:あなたの場合は、60歳以降、契約社員とパートのどちらを選択するかによって、異なります。

 @契約社員を選択した場合:厚生年金に加入するので、年金額及び給与月額の合計額によっては在職老齢年金制度により、特別支給の老齢厚生年金が減額されることがあります。
ただし、退職した時点で60歳以降勤めた期間が年金額として再計算され、増額されます。
 この場合注意しなければならないのが、加給年金額です。夫は64歳から加給年金額(年額396,000円)が支給され、加給年金額はあなたが65歳になると、あなたの老齢基礎年金に振替加算として年額94,100円加算されることになります。現在既に18年間厚生年金に加入していますので、あと2年以上厚生年金に加入して、加入期間が20年以上の加入期間になると、夫に加算される加給年金額がカットされるだけでなく、あなたの老齢基礎年金に振替加算が加算されなくなってしまいます。

 Aパートを選択した場合:特別支給の老齢厚生年金は減額されず満額受給でき、65歳になるまで国民年金に任意加入することもできます。
 しかし、65歳まで任意加入した場合、今後5年間の支払保険料合計898,800円(平成20〜24年度)に対し、増える年金は年額99,000円程度(平成19年度価格で計算)ですから、支払った保険料を取り返すには、あなたが74歳1ヶ月になるまでかかります。

 以上の点を考慮し、当面の生活に必要な経費はどのくらいか、将来必要になる資金がどのくらいか、またどのくらい長生きできそうかなども考え決めて下さい。



    
   細切れ勤務を戦後続けてきた方の哀しい年金記録
(08年5月)


Q:私は大正14年2月生まれで現在83歳です。いまは老齢基礎年金のみ月額5万円もらっています。しかし、私は、戦前は勤労学徒動員で陸軍第一造兵廠で働き、戦後は産休代替教員やいくつかの私立学校の臨時講師、厚生省国立公園部などで細切れにいろんなところで働いてきました。厚生年金も共済年金も1円ももらえないのはおかしいと思います。当時の給与明細票や辞令など証拠となる書類もようやく捜し出しました。3月に年金特別便が届いたということもありますので、なんとかならないでしょうか。(N子)



A:@まず勤労学徒動員の扱いですが、当時の軍人の名簿は勤務していた都道府県庁が管理しており、軍人であれば軍人恩給の対象となるのですが、勤労学徒動員はいまで言えばボランティアのようなもので、残念ながら当時の名簿も残っておらず年金の対象外となっています。
 A学校の代替教員や臨時講師のときの記録は、公立学校は公立学校共済組合、私立学校は日本私立学校振興・共済事業団に問い合わせます。共済年金制度が施行されたのは、国家公務員が昭和33年7月、地方公務員が昭和37年12月、私立学校が昭和29年1月ですから、その前の勤務だとそもそも共済年金の対象となりません(公務員の場合はそれ以前の時期は恩給制度の対象となります)。また、共済年金の短期加入者が昭和36年4月前に退職したときは、それまでかけた年金の原資分を退職一時金として本人に返す制度でした(36年4月以降は公的年金の通算制度が導入され、退職一時金制度はなくなりました)。
 B厚生省国立公園部の勤務については、公務員として任官された官吏は共済制度もしくは恩給制度に加入することになりますが、労務者ならば対象となりません。ただ、当時それでは可哀想だということで厚生年金保険に加入させていた可能性があります。
 3月に年金特別便が送られてきたとのことですが、3月までに送付された特別便は社会保険庁が未統合記録を捕捉したもの(本人の記録として推定できたもの)について送付していますので、最寄りの社会保険事務所へ当時の証拠となる書類をもって手続をすれば、該当する期間について老齢厚生年金を受給できるものと思われます。60歳からいままでの未支給分も合わせてもらえます。

 Aパートを選択した場合:特別支給の老齢厚生年金は減額されず満額受給でき、65歳になるまで国民年金に任意加入することもできます。
 しかし、65歳まで任意加入した場合、今後5年間の支払保険料合計898,800円(平成20〜24年度)に対し、増える年金は年額99,000円程度(平成19年度価格で計算)ですから、支払った保険料を取り返すには、あなたが74歳1ヶ月になるまでかかります。

 以上の点を考慮し、当面の生活に必要な経費はどのくらいか、将来必要になる資金がどのくらいか、またどのくらい長生きできそうかなども考え決めて下さい。



   
    第3号被保険者期間がすっぽり抜けていたFさん
(08年6月)


 Fさん(昭和43年生まれ・女性)は短大卒業後就職し、平成4年3月に退職しました。その後、子育てが一段落して、平成20年4月に再就職しました。再就職先で厚生年金に加入するにあたり、年金手帳を紛失していたため、新たに年金手帳の交付を受けました。
 ある日、Fさんのもとにねんきん特別便が届きました。旧姓で加入していた結婚退職前の記録が書かれていたため、現在の手帳と記録を統合したところ、専業主婦だった期間の記録がないことに気が付きました。
 会社勤めをしていた4年間と、今後60歳になるまで働くと仮定した場合の20年間を足しても、受給資格期間の25年に足りず、「年金が受給できないのではないか…」と心配して、相談にみえたのです。
 専業主婦だった期間は、ずっと夫の扶養家族として政府管掌健康保険に加入していたとのことで、国民年金第3号被保険者(厚生年金や共済年金に加入している人の被扶養配偶者)に種別変更する届出が漏れていたことが分かりました。

【届出漏れを救済する制度】
 そこで、平成17年4月から届出漏れを帳消しにする救済措置が行われていて、この措置では第3号被保険者制度開始(昭和61年4月)まで遡って保険料納付済期間として取り扱われること、その措置を受けるには「国民年金第3号被保険者特例措置該当期間登録届出書」と「国民年金第3号被保険者届」を、夫の勤務先経由で社会保険事務所に提出することが必要で、提出すれば、専業主婦だった期間が保険料納付済期間として取り扱われることを説明しました。

【届出漏れになりやすい場合】
 現在は第3号被保険者の資格取得・喪失手続は配偶者の勤務先が行うことになっていますが、平成14年3月までは、第3号被保険者自身が住所地の役場の国民年金課に出向き手続きをしなければなりませんでした。
 一方、健康保険の扶養家族になるための手続きは配偶者の勤務先で行うため、国民年金の種別変更手続きを忘れてしまう人が多く出ました。Fさんもまさにそのケースでした。

【手続き上の留意点】
 手続きにあたっては、救済措置を受ける期間について、配偶者に扶養されていたことの証明が必要です。
 配偶者が政府管掌健康保険に加入していた場合は社会保険事務所で証明が取れますが、それ以外の場合は健康保険組合等の証明、あるいは配偶者の勤務先の申立書が必要になります。



   
     障害年金と老齢年金のどちらを選ぶか?(08年7月)

Q:昭和23年8月生まれでまもなく60歳になります。現在障害等級3級の障害厚生年金をもらっています。60歳以降働き続けるつもりはありません。そこで、老齢厚生年金をもらった方がいいのか、引き続き障害厚生年金をもらった方がいいのか、教えてください。妻は2歳年下です。

 
【「障害者特例」という制度があります】
 本来あなたの生年月日の場合、特別支給の老齢厚生年金は、60歳から報酬比例部分(=報酬に比例してもらえる年金)を、64歳から報酬比例部分と定額部分(=加入期間に応じてもらえる年金)を受給することになります。しかし、「障害者特例」という制度があります。@障害等級3級以上で、A退職している(厚生年金保険の被保険者資格を喪失している)場合、60歳から報酬比例分と定額部分の両方が支給されるのです。
 また、@厚生年金保険に20年以上加入し、A65歳未満の配偶者がいる場合には、配偶者加給年金が支給されます。加給年金は、定額部分が支給され始めたときに支給されるのですが、これまた「障害者特例」の結果、60歳から支給されます。
 60歳から特別支給の老齢厚生年金を選択した場合には「報酬比例部分+定額部分+配偶者加給年金」をもらうことができます。社会保険事務所で年金見込み額を聞いて、現在もらっている障害厚生年金額と比べて多い方を選んでください。

【障害が進行した場合】
 65歳以降にもらえるのは、老齢厚生年金(60代前半にもらえる報酬比例部分と同じ額)、配偶者加給年金、老齢基礎年金です。このうち配偶者加給年金は、奥様が65歳になると奥様の老齢基礎年金に振り替えられる(振替加算と言います)ので、ご主人の年金額からは消えてしまいます。
 もし65歳になるまでの間に障害が進行し、障害等級2級以上になった場合、障害基礎年金を選択した方がいいと思われます。障害基礎年金は2級の場合、満額の老齢基礎年金と同じ額(平成20年で792,100円)が出ます。1級の場合は2級の額の1.25倍(990,100円)出ます。そして、障害基礎年金と老齢厚生年金をあわせてもらうことができます。



             
            年金に25年加入していなくても、
        受給資格が得られるってホント?
(08年8月)


Q:昭和23年8月生まれでまもなく60歳になります。現在障害等級3級の障害厚生年金をもらっています。60歳以降働き続けるつもりはありません。そこで、老齢厚生年金をもらった方がいいのか、引き続き障害厚生年金をもらった方がいいのか、教えてください。妻は2歳年下です

 
【「障害者特例」という制度があります】
 本来あなたの生年月日の場合、特別支給の老齢厚生年金は、60歳から報酬比例部分(=報酬に比例してもらえる年金)を、64歳から報酬比例部分と定額部分(=加入期間に応じてもらえる年金)を受給することになります。しかし、「障害者特例」という制度があります。@障害等級3級以上で、A退職している(厚生年金保険の被保険者資格を喪失している)場合、60歳から報酬比例分と定額部分の両方が支給されるのです。
 また、@厚生年金保険に20年以上加入し、A65歳未満の配偶者がいる場合には、配偶者加給年金が支給されます。加給年金は、定額部分が支給され始めたときに支給されるのですが、これまた「障害者特例」の結果、60歳から支給されます。
 60歳から特別支給の老齢厚生年金を選択した場合には「報酬比例部分+定額部分+配偶者加給年金」をもらうことができます。社会保険事務所で年金見込み額を聞いて、現在もらっている障害厚生年金額と比べて多い方を選んでください。

【障害が進行した場合】
 65歳以降にもらえるのは、老齢厚生年金(60代前半にもらえる報酬比例部分と同じ額)、配偶者加給年金、老齢基礎年金です。このうち配偶者加給年金は、奥様が65歳になると奥様の老齢基礎年金に振り替えられる(振替加算と言います)ので、ご主人の年金額からは消えてしまいます。
 もし65歳になるまでの間に障害が進行し、障害等級2級以上になった場合、障害基礎年金を選択した方がいいと思われます。障害基礎年金は2級の場合、満額の老齢基礎年金と同じ額(平成20年で792,100円)が出ます。1級の場合は2級の額の1.25倍(990,100円)出ます。そして、障害基礎年金と老齢厚生年金をあわせてもらうことができます。

生年月日 加入期間
昭和22年4月1日以前 15年
昭和22年4月2日〜昭和23年4月1日 16年
昭和23年4年2日〜昭和24年4月1日 17年
昭和24年4月2日〜昭和25年4月1日 18年
昭和25年4月2日〜昭和26年4月1日 19年




           
        事後重症による障害年金請求の留意点
(08年9月)


Q:昭和22年1月生まれです。平成3年が初診日で、@糖尿病性腎症(近く人工透析開始予定)、A糖尿病網膜症(両眼)、B陣旧性心筋梗塞、うっ血性心不全、心房細動、平成11年が初診日で、C陣旧性胸腰椎圧迫骨折、変形性頚椎症、糖尿病性神経症、両手指腱鞘炎を患っています。すでに老齢厚生年金を受給していますが、障害年金ももらえるのではないかと思うのですが。
A:一般の障害年金の支給要件は、@初診日に厚生年金(または国民年金)の被保険者であること、A障害認定日(初診日から1年6ヶ月を経過した日またはそれまでに治った日)に障害等級に該当すること、B保険料納付要件を満たしていることです。

【障害認定日の状況は?】


A:まず障害認定日、あなたの場合平成5年当時の状況をお聞かせください。
Q:心臓の痛みと尿の臭いが気になって、平成3年に病院に行ったのですが、まだ働ける状態でしたので、平成5年まで不動産会社に勤めていました。
A:障害認定日には障害等級には該当しなかったが、その後症状が重くなったということですから事後重症による障害年金に該当する可能性があります。事後重症は、障害認定日には障害等級になかった者が、65歳に達するまでに障害等級に該当したときに請求できる制度で、請求した月の翌月から支給されます。

【保険料納付要件は?】

A:不動産会社にはいつからお勤めでしたか?
Q:昭和44年からです。
A:保険料納付要件には2つの場合があります。一つは、初診日の属する月の前々月までに、滞納期間が3分の1未満である、もう一つは、1年間のうちに滞納期間がない。いずれかの要件を満たせばよいのです。あなたの場合、初診日の前々月から1年以上にわたって厚生年金に加入していますから保険料滞納期間はありません。保険料納付要件は満たしています。
【障害等級に該当するか?裁定請求の留意点】
A:障害等級には1級、2級、3級があり(ただし3級は厚生年金保険のみの等級)、それぞれ政令で該当する障害の状態が定められています。あなたの場合は初診日に厚生年金の被保険者ですから、もし1級または2級に該当すれば、障害基礎年金と障害厚生年金の両方、3級に該当すれば障害厚生年金をもらうことができます。
Q:どのような手続きをすればよいのでしょうか?
A:糖尿病と心臓病という内科的疾患が併存しており、それとは別に頚椎等の外部障害が併存している状況ですから、総合的に判断して認定されることになろうかと思われます。医師に、病気別に4種類の年金用診断書を記入してもらって下さい。裁定請求書と「病歴・就労状況等申立書」、戸籍抄本とあわせて提出します。
Q:老齢厚生年金と両方もらえるのでしょうか?
A:両方もらうことはできません。どちらか額の多い方を受給した方がいいので、送られてくる選択届に「有利な方を選択します」と記入して提出します。



            
          遺族年金の落とし穴
(08年10月)
  〜厚生年金加入時期と加入年数によって大きな違いが…〜



 Jさんは昭和9年3月生まれで、高校卒業後4年間の会社勤めの後、結婚退職し、その後は主婦業をしながら夫の事業を手伝っていました。
 夫は昭和6年3月生まれで、高校卒業後会社勤めをしていましたが、昭和37年4月に独立しました。個人事業でしたが、平成3年4月に法人化し、平成8年4月に息子に後を譲って引退しました。
 引退後の余生を楽しんでいた二人でしたが、今年4月に夫が急逝。その後、遺族年金支給通知書が届きました。通知書を見ると、遺族年金が年額に換算して40万円、Jさんの年金と合わせても56万円でした。
 夫の生前時の支給通知書を見ると、年金額が197万円(うち、厚生年金118万円)でした。
 Jさんは、なぜ118万円あった年金が56万円にまで減ってしまうのかが分からず、相談に見えました。

【「経過的加算」は遺族年金に反映されない】

 ねんきん特別便を見ると、夫の厚生年金加入期間のほとんどが国民年金に加入する義務の無い期間(昭和36年3月以前と60歳以降の期間)でした。
 そこで、社会保険事務所で「経過的加算」の額を確認しました(図参照)。
 65歳以降は、A→Cになりますが、CのうちAの計算の基礎になっていた期間に対応する金額が、Aに満たないケースがあります。
 これは、A.昭和36年3月以前に厚生年金に加入していた期間、B.国民年金加入義務の無い期間(20歳未満及び60歳以降)に厚生年金に加入していた期間が、Cには反映されないためです。
 Cに反映されない部分を補填するのが「経過的加算B」です。Bは老齢厚生年金の一部として支給されていますが、遺族厚生年金には一切反映されません。
 夫の年金額は、Bが、118万円のうちの約半分を占めており、@の4分の3からJさんの老齢厚生年金を控除すると40万円弱になったのです。

【あと2年厚生年金に加入していれば…】

 さらに夫の厚生年金加入期間が18年だったため、Jさんの遺族厚生年金には経過的寡婦加算がつかず、老齢基礎年金には振替加算(年額185,300円)もつきません。
 Jさんは「夫の事業をあと2年早く法人化していれば良かったのにねえ」と言い残して、お帰りになりました。

 相談を受けた私も、改めて制度の壁(厚生年金20年加入・経過的加算)を痛感するとともに、真面目に保険料を納めてきたお客様に対して明るい見通しをアドバイスできないことの無念さを感じた案件でした。

     <老齢年金のしくみ>
65歳
特別支給の        
老齢厚生年金
{ 報酬比例部分@ 報酬比例部分@ } 老齢厚生年金**
定額部分A 経過的加算B
老齢基礎年金C 老齢基礎年金




            
  名前の「入力」・「届け出」違いがもたらした悲劇
(08年11月)

【「しま子」を「しほ子」で届出】

 現在80歳のIさんは、結婚する前の4年余の期間、会社に勤めておられました。3月に届いた年金特別便にはその記録がなく、どうしたらいいのかと相談にみえました。
 委任状をいただいて、私(鎌田)が社会保険事務所へ行き、当時の会社の被保険者台帳を調べてもらいました。女性の場合、結婚して姓が変わり年金記録が二重になっている(別人のものになっている)ことがよくあります。ところがIさんの場合は「姓」ではなく、「名」が違っていたのです。それは、会社が資格取得届を行う際に、「しま子」を「しほ子」に書き間違えて届け出ていたのです。
 残念ながら会社が社会保険の適用手続きをしたのがIさんの入社後だったため、認められたのはわずか15ヵ月間でした。それでも毎年の年金額が約6万円と、60歳から今日までの20年分の未支給年金約120万円(年額6万円×20年)が支給されることになりました。

【「對馬」を「タイバ」で入力】
 昭和55年(1980年)から始まった年金記録のコンピューター管理。当時、氏名の入力は漢字ではなくカタカナだったため、漢字の原本から独断で職員が読み仮名を打ち込み、多くの入力ミスがあったと言われています。
 今年60歳になる對馬さんは、「厚生年金保険料と国民年金保険料を二重払いしているようだ」と相談にみえました。会社で厚生年金保険料を支払う一方、自宅に国民年金保険料の納付書も送られてきていたので、わからないまま国民年金保険料も支払っていたのです。疑問に思った對馬さんは、社会保険事務所に年金記録の紹介を行ったところ、厚生年金の記録は「ツシマ」と本名で記載されていましたが、国民年金の記録は「タイバ」になっていたのです。さらに、国民年金保険料の納付記録が5年ほど抜け落ちていることもわかりました。ただちに国民年金保険料の還付請求を行うと同時に、国民年金保険料の記録の調査を申請しました。

 戦後転々と職場を変えざるを得なかったお年寄りは少なくありません。朝枝さんという方が、職場によって「アサエダ」になったり「アサエ」になったりして統合されていなかったケースもありました。名前の入力ミスは、保険料の二重払いを生み出したり、年金額の減をもたらします。さらに、平成14年度から国民年金保険料の徴収義務を自治体から社保庁に移管したとき、社保庁は自治体に対して「名簿を破棄してもよい」と通知してしまいました。記録の調査ができなければ無年金者になってしまう可能性もあるのです。




厚生年金に加入しながら働くか、
非常勤で働き年金をもらうか?
(08年12月)


 団塊世代の大量退職が現実のものとなってきた今、在職老齢年金についての相談が増えてきました。
 内容は自身の年金額についての相談だけではなく、自社の60歳以降の賃金制度(年金を活用した賃金設計)の相談が会社経営者から寄せられたりして、様々な切り口からの相談や質問を受けています。
 年金は一人として同じケースはないと言われますが、友人のアドバイスを鵜呑みにした結果、根本的に誤って理解しているというケースも少なくありません。
 そこで今回は専務取締役のAさんとのやりとりをQ&A形式で述べたいと思います。Aさんは昭和17年9月生です。60歳時に試算した年金月額は厚生年金14万円+国民年金6万円=20万円でした。ご主人(社長)は昭和12年3月生。夫婦共に厚生年金に加入しており、現在の標準報酬月額は62万円です。

Q1.主人はもらえるのに、私は65歳以降ももらえないのはどうしてなのかしら?
A1.平成14年4月から65歳以降の調整が始まりました。従って、その際に65歳を迎えていた方(昭和12年4月1日以前生)は支給調整を受けません。一方、昭和12年4月2日以後生の方は、厚生年金に加入している限り、ずっと支給調整を受けます。あと、Aさんの場合は年金額と報酬額の関係で全額支給停止になっているのです。

Q2.じゃあ、私は働いて今と同じ額の報酬をもらっている限り、年金はもらえないの?
A2.いいえ。支給調整を受けるのは厚生年金です。国民年金の6万円は全額受給できますよ。

Q3.その間に払った保険料はムダになるのかしら?
A4.払った保険料は、厚生年金加入者でなくなった時に再計算されて年金額が増えるので、全くのムダにはならないけれど、元を取れるかどうかは何とも言えないですね。その後どれだけ長生きするかにもよりますから。

Q4.厚生年金に加入するのは70歳までだと聞いたけど、その後も調整されるの?
A4.残念ながら平成19年4月から、70歳以降も厚生年金に加入できる勤務条件で働いていると、保険料の負担はないのですが、報酬に見合った調整をされてしまいます。「保険料を払っていない=年金額は増えない」ので、“減らされ損”ですね。

Q5.“減らされ損”だけは勘弁してほしいわね。手立てはないのかしら。
A5.70歳以降になったら勤務時間を短く、あるいは勤務日数を少なくして、非常勤(週30時間未満が目安)にすれば良いのですよ。

 その後のAさんですが、私とのやり取りの中で「厚生年金に加入していなければ調整されない」という大原則に気が付いたようで、今は非常勤で勤務しつつ、報酬と60歳以降の加入により増額した年金の両方を受け取っています。




記憶だけで第三者委員会に申し立てても
支給判断はされない
(09年1月)


Q 昭和25年7月が誕生日で、現在58歳です。最近届いた年金特別便を見たら、払ったはずの10年分の国民年金納付記録が抜け落ちているのでびっくりしました。社会保険事務所から「不服があるなら第三者委員会に申し立ててください」と申し立て用紙をもらったのですが、認められるのでしょうか?(T子)

【一定の証拠が求められる】
A 保険料を納付したという証拠になるものは?

Q 30年近く前、区役所で“国民年金保険料を遡って支払うことができます”というキャンペーンが行われていました。私は20歳から30歳までの約10年間保険料を払っておらず、その時まとまったお金があったので約20万円遡って払いました。その時母の分も遡って払い、母は年金加入記録に反映しているのに、私の分は反映していないのです。銀行から振り込んだのか、区役所に直接払ったのか、記憶は定かではありません。
A 国民年金への加入が任意(保険料を払えば加入となる)の時代(昭和61年3月以前)で、たしかに特例納付(=過去の保険料の追納のこと)が実施されていた時期です。銀行の振り込み記録などはお調べになりましたか?

Q 銀行で聞きましたら、5年前までの記録はあるがその前の記録は保存してないとのことです。
A 社会保険事務所はすぐに「第三者委員会に申し立てたらどうですか」と言いますが、あまり親身に相談に乗らずに、面倒なので安易に言っている場合が少なくありません。しかし第三者委員会といえども一定の証拠や根拠が求められますので、あなたの場合はこのまま申し立てても却下されてしまう可能性が大きいと思われます。

Q 証拠といわれてももう30年近く前のことですから…。それに私はそのあとは今日まで1円たりとも未納がないのです。このまじめな性格を信用していただければ…。
A 第三者委員会の記録を見ますと、あなたと同じような申し立てがありました。認められたケースは、@当時作成されたと思われる家計簿に「保険料●●円」という記載がある、Aその記載が当時払ったとする金額と合致している、B同一時期に、その額に見合った額を引き出した預金通帳が存在する、C申し立てに係る期間を除き現在まで未納がない(「まじめな性格である」)などを判断基準にしています。ですから、家計簿、通帳等の証拠、根拠となるものが必要と思われます。
【区役所の原簿をあたってみる】
A また、当時の納付した区役所の原簿をあたってみてはどうでしょう。昭和55年から年金記録のコンピューター管理が開始されました。ちょうどあなたが20万円納付した頃です。その際、職員の打ち間違いで氏名や生年月日などの入力ミスが発生しました。社会保険事務所にあるコンピューター上の年金記録は、打ち損じなく入力されたデータなのです。区役所の年金課へ行って事情を話し原簿の調査を依頼してみてください。社会保険事務所はそこまで調査を行っていない場合が多いのです。

Q わかりました。証拠探しと区役所での調査、やってみます。




配偶者加給年金額と振替加算について
(09年2月)

 年金支給開始年齢の繰り下げが始まり8年が経過しようとしています。この間、年金にまつわる様々な問題が公になり、年金に関する関心が高まり、年金相談も様々な場所で行われるようになりました。
 最近はあらかじめ社会保険事務所等で記録確認を行ってから相談に来られる方が増えていますが、説明を受けても今一つ理解しづらい内容もあるようです。
 今回はその中から、配偶者加給年金額と振替加算について、実際にあった相談を例に説明いたします。


Q 私(昭和23年11月生)は若い頃に3年程お勤めをして、その後は専業主婦でした。夫(昭和21年6月生)はずっと会社員で厚生年金に38年加入していました。二人とも年金の裁定請求を忘れていて、先日社会保険事務所に行ったのですが、夫の年金の加算(=加給年金額)は63歳からと言われました。私は60歳からだと思っていたのですが。

A ご主人の生年月日だと、特別支給の老齢厚生年金(60歳台前半の老齢厚生年金)は62歳までは報酬比例部分のみ、63歳から定額部分が支払われるようになります。生計維持要件(※1)を満たしていれば、加給年金額は定額部分が支払われるようになった時(図@・A参照)から上乗せされるのです。

Q 社会保険事務所から「65歳まで支給される」と聞いているから、2年間しか支給されないのですか?
A 65歳までというのは「ご主人が」ではなく、「Qさんが65歳になるまで」支給されるということですよ。


Q 私が65歳になった後はどうなるのかしら。
A Qさんの基礎年金に振替加算が加わります(図A参照)よ。





Q 加給年金額は確か39万6千円(※2)だけど、振替加算はいくらかしらねぇ。
A 振替加算額はQさんの生年月日で決まる(※3)ので、Qさんの場合は94,100円ですね。

Q じゃあ、私の年金額は増えるけれど、夫婦二人分だと損ね。これはみんなそうなのかしら。
A 残念ながらほとんどの方がそうですね。特に昭和41年4月2日以降生まれの方には振替加算がつかないので、妻が夫の扶養家族で夫より若い場合、妻が65歳になった途端、夫の年金が39万6千円も減り、妻も年金をもらえるようになったけれど、世帯としてはあまり増えない(減るケースすらある)という事態になってしまいます。
 また、妻が厚生年金に20年(※4)以上加入していて、その年金を受給し始めると加給年金額はその時点で支給停止されますし、夫の厚生年金加入期間が20年未満(※5)の場合も加給年金額はつきません。これらの場合では妻が65歳になっても振替加算はつきません。
 妻が働き続けることが珍しいことではなく、就職難のためフリーターでいることを余儀なくされている若者が多い今の状況を見ると、加給年金額がつかないケースが将来的には増えていくでしょうね。


Q/年金は若い時代の雇用環境が、数十年後に反映されるものなのね。私たちの世代はまだ良かったのかも知れないわね。

※1 年収が将来(概ね5年)にわたり、850万円未満であると認められること。
※2 平成20年度価格は227,900円。ただし生年月日により加算があり、年金受給権者の誕生日が  昭和18年4月2日以降の人は396,000円。
※3 配偶者の誕生日が大正15年4月2日から昭和2年4月1日生まれの人が227,900円(平成20年度価格)で、それ以降は逓減していく。
※4 中高齢の特例により、15〜19年の厚生年金加入期間で年金受給権を得ている場合を含む。
※5 中高齢の特例により、15〜19年の厚生年金加入期間で年金受給権を得ている場合を除く。


<社会保険労務士のコメント>
 以上のやりとりをお読みになって、いかがでしょうか。よく「加給年金額は妻が65歳になった時点で妻の年金に振り替えられる(=振替加算がつく)」という説明がなされていますが、必ずしもそうとは限らないケースが今後増えてくると思われます。
 年金相談を受ける際に、「お友達のケースも聞いて説明してあげよう」といった親切心から、つい一般的なことや原則を聞いて(訊いて)しまいがちですが、一般的なことに当てはまらないケースもあるでしょうし、生年月日や加入状況によって原則も異なります。それが年金であり、それゆえにウン万通りの受給パターンがあると言われているのです。
 まずは自身のケースに的を絞って聞き、自身の年金情報をきちんと理解することから始めましょう。



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