

5千万件の年金記録未統合問題が問題になってから年金相談が急増しました。この連載では、沖、鎌田の2人の社会保険労務士が実際に受けた年金相談の実例を紹介します。みなさんとみなさんの周りの年金相談の参考にしてください。
--------- Sさんの場合 【亡夫の未支給年金を遡って受給できたSさん】 Sさんの夫は平成19年の2月に85歳で亡くなられました。葬儀を済ませ遺物を整理していたら、亡夫がSさんと結婚する前に約8年間勤めていた会社の社員名簿を偶然見つけました。3月に最寄りの社会保険事務所にその社員名簿をもって記録の確認を請求したところ、たしかにその会社に勤めていたことが確認され、5年分(80歳から85歳までの分)約2百万円の未支給年金をもらい、あわせて遺族年金の増額も行われました。 時効撤廃法案通過のテレビ報道をみたSさんが、「もしかしたら私も」と相談に見えたのは平成19年8月でした。私(鎌田)も一緒に社会保険事務所に同行し、未支給年金の請求を行いました。すでに3月の時点で記録が統合されていますから、手続は簡単でした。同年11月に残りの未支給年金(60歳から80歳までの分。Sさんの夫の年齢の場合60歳から老齢厚生年金が支給されます)約8百万円を受給できたのです。Sさんは、「天国の夫からの贈り物。毎月10万円ずつ使って、のんびり温泉にでもいきながら過ごすわ」と嬉しそうに報告してくれました。 【特例法の救済範囲は?】 この特例法(平成19年7月施行)は、年金記録の訂正により年金額が増額されたり、年金の受給資格が確認された方の老齢・障害・遺族年金の時効消滅分(※)が全期間遡って支給されるというものです((※)これまでは5年の時効で、それ以上は遡ってもらえませんでした)。もしこれらに該当している方が亡くなられている場合、ご遺族の方に時効消滅分が支給されます。遺族の範囲は、亡くなられた当時、生計を同じくされていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹(順位もこの通りとなります)です。 ただし、特例法は、あくまでも社保庁のミスにより長年不明になっていた年金記録が見つかった人が対象です。本人が受給請求を忘れ、その分の年金をもらえなかった人は、特例法の対象外(つまり5年の時効となる)ですので注意が必要です。 社会保険事務所にある支払手続用紙に記入します。年金手帳・年金証書・振込通知書などと印鑑、身分証明書、預金口座通帳などを持参するようにしてください。 |
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【もらい忘れ年金があったBさん】 Bさん(昭和20年生まれ・女性)は昭和45年にサラリーマンの夫と結婚しました。当時はサラリーマンの妻は国民年金に加入しなくても良いということで、加入していませんでした。 その後、昭和61年に第三号被保険者制度が始まったときに、Bさんは忘れずに手続きを行い、60歳まで第三号被保険者でした。 60歳を過ぎたBさんは、マスコミで年金のことが取り上げられることが多くなり、あらためて自分の年金加入暦を振り返ったところ、昭和61年からの19年間しか加入していないことに気が付きました。 さらに、友人から「年金は25年以上加入していないと支給されない。」と聞いていて、「私は年金がもらえないのでは?」と不安に思い、相談にみえたのです。 お話をお聞きしていると、高校を卒業してから6年間ほどデパートでお勤めをしていて、その時は厚生年金に加入していたということが分かりました。 当時は女性が退職する際に、会社が脱退手当金を社会保険事務所に請求し、退職金に上乗せして支給することがよく行われていたので、Bさん自身もそうだったと思っていて、厚生年金が受給できるということは全く考えていなかったのです。 そこで、まずは社会保険事務所で記録の確認を行い、お勤めしていたときは旧姓だったということで、記録の統合(テレビで言われている「名寄せ作業」のことです。)を行いました。 すると、脱退手当金が請求されていなかったため、Bさんは第三号被保険者の19年間と、厚生年金に加入していた6年間で計25年の要件を満たし、年金が受給できることが確定しました。 それだけではなく、特別支給(60歳代前半)の老齢厚生年金が年額約22万円受給でき、65歳以降の年金も約22万円増額されることが分かりました。 Bさんは「主人の年金と合わせると、老後の暮らしもこれで何とか目処がついたわ。」と、穏やかな表情でおっしゃいました。 【もらい忘れ年金とは?】 公的年金は請求しなければ受給できません。「もらい忘れ年金」とは、請求し忘れた年金のことです。 「旧姓と現姓の両方に記録が残っている」「職を転々とし、年金手帳を複数持っているがそのままにしていた」「年金手帳(厚生年金保険被保険者証)を紛失しているため、請求していない」などで未統合の記録があり、それを請求し忘れていることによる「もらい忘れ年金」がかなり多くあると言われています。 昔、短い期間だけ勤務(厚生年金に加入)していた会社がある人は要注意です。まだ受給までに時間のある方も、思い当たるところがあれば、記録を確認し、統合作業をしておきましょう。 |
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年金支給開始年齢の繰り下げが始まり8年が経過しようとしています。この間、年金にまつわる様々な問題が公になり、年金に関する関心が高まり、年金相談も様々な場所で行われるようになりました。
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