やる気を引き出す社内研修(第3回)
社内研修は、全体で効果的に実施したいところですが、形式的なところが多く容易ではありません。
【参加しても、しなくても同じ研修】
社員50名程の電子部品の商社での例です。研修会では、技術の進歩や業界の再編が激しいことから、業界全体の情報、特定の大手メーカーの経営戦略、世界情勢まで、毎回盛りだくさんの勉強会です。まるでテレビの経済番組のようだといいます。さらに、業務優先で研修会と重なった場合は研修会の途中でも容赦なく退席、最初から欠席する人間も多く、研修を受けなくとも実際の業務に支障はないといいます。
また、約30名の家電企業の子会社では、親会社の方針報告会的な勉強会を毎年数回に分けて実施。みんな参加が義務付けられているはずなのですが、業務優先でやはり欠席する人が多いようです。
企画者の意図は様々あるのでしょうが、「研修で時間をとられるなら仕事をしていた方がいい」と考える社員が大多数なのが実際です。受けたくない人に研修を実施しても効果はほとんどありません。後で、資料を読めばわかるような研修ではなおさらです。
【ワークショップ型の研修】
逆に、比較的簡単に実施していながら、上手に進めている社員20名の警備会社の例です。その会社は、工事現場で車と歩行者の誘導が主な業務です。ある時「どうしたらもっとスムーズに誘導できるか」の新入社員の言葉に、担当の上司が「みんなで話し合ってみよう」と呼びかけて月一回の研修会が始まりました。
最初は社員の自主的な勉強会として始まったのですが、数回目からは経営者が業務と位置づけ研修の時間も賃金も保証しました。業務改善的な内容ですが決定権はありません。
テーマの設定や各回の報告者は、社員が交代で担当し自分の業務の中で疑問に思ったこと、改善した方が良いと思ったことを事前に告知しておき、参加者は前もって自分の考えを頭の中にまとめておくというだけです。率直な意見が交わされ、最近では、他社の事例や改善提案をまとめるようになったといいます。
自分の業務と直結している内容であること、過度な負担がなく実施できていることが、うまく運営されている要因のようです。
また、約40名の通信販売会社では、会議の冒頭15分程度、社員に交代で業務と関係なく自分の好きなテーマでミニ学習会の講師をさせるそうです。自分の好きな映画や音楽、普段の生活で考えたことなど様々で、その人となりがわかり社員からも好評です。
うまくいっている事例に共通しているのは、「ワークショップ形式(参加体験型)」であることです。その裏には、経営者の「社員の自主性を尊重する雰囲気づくり」がうかがえます。教育の本質は、知識を教え込むことではなく、本人の持っている力を引き出すことですから、まさにその点で、社員に依拠してやる気を引き出している事例といえるでしょう。
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